コウモリ

コウモリはオオコウモリとコウモリに分類されるが,エコーロケーションをしているのはコウモリである. オオコウモリは視覚で定位している. コウモリはなんで超音波が出せるのか気になるが,基本的な部分は人間と同じで, 咽頭筋肉の高速コントロールができているから,ということらしい.
コウモリのエコーロケーションには二種類あり,FM だけの信号と CF-FM 信号がある. 定常周波数をもつ CF のあとに FM を流すパターンと FM だけの二つ. CF 部分の長さや FM の長さによってエコーロケーションの種が変化する. 周波数が互いに混信することもあるが,これは互いに自身の周波数を調整することで回避している.

イルカ

イルカは声帯を持たず,その鳴き声はパルス音と連続音(クリックスとホイッスル)に分別される. 音源が何か,ということは議論されているが,噴気孔周辺であると信じられている.例えば クリックスは噴気孔で圧縮された呼気が鼻道を通り,脂肪嚢を振動させることで発音されると知られている. しかし,この周波数の調整方法などは解明されていない.
イルカの額にはメロンという脂肪塊があるが,これは脂肪嚢から発せられた音の指向性を調整する. しかし,この指向性の調整はどちらかというと頭蓋骨の方が役割が大きく, メロンは水中とのインピーダンス整合を果たしていることが知られている.
一方で,イルカは聴覚も重要である.水中は暗いためである.そのためエコーロケーションが使われる. イルカにも外耳はあるが,完全に閉塞しており,音は聞けない.かわりに下顎骨から音を受信して内耳に伝える. 中耳の耳小骨や内耳の三半規管などの仕組みは哺乳類とほとんど一緒だが,蝸牛がとても小さい. これは,水中で激しく運動するような状況でも正しく定位できるように感度を高くするためである. ところで,イルカのエコーロケーションは,餌の探知が主な目的である.その波長が 餌となる魚によく反射するように選択されているためである. また,パルスが多すぎると受信と送信の対応付けができないため,受信してから次のパルスを送信している. このエコーロケーションを使うことで,イルカは初めて見る物体の視覚的な形を認識できるらしい. つまり,反射した音だけを聞いて,それがどんな形をしているかを認識することができる.すご

これまでのクリックスはエコーロケーションのためのものだった.一方のホイッスルは, お互いが群れではぐれないようなコヒージョンコールとして使われている. このホイッスルは個体によって差があり,生後約一年かけて学んでいくものである. また,イルカは血縁関係にあるイルカとそうでないものをこのホイッスルで聞き分けられる. これは周蓮変調に個体パターンがあるためである.

クジラ

クジラは採餌の他に歌うことが知られている. 規則的な音の配列と階層的な構造から,ソングといわれている. このソングは必ずしも求愛のためではなく,同性同士での信号のやり取りにも使われていることがある. このソングの構造は種別に変化があり,構造などに違いがある.

ジュゴン

ジュゴンも複数の鳴き声をもち,チャープスクイークの他に,短時間のトリルやバークがある. このチャープには,相対的な距離の把握機能があるといわれている.また,幼獣は会得していない トリルは,性的行為や活動的な場合に発声されることが多い. そのため,自信の内的モチベーションを伝達する役割があるらしい.

マナティー

マナティーはジュゴンやクジラとは違い,主に複数の周波数帯域で構成されるハーモニクスを用いる. この鳴音は個体識別に使われており,雌雄や年齢に依存する持続時間や基音の変化に依存している. マナティーかわいいよね

鰭脚類

アザラシやアシカなどは鰭脚類に分類されるが,これらはさらに陸上交尾型・水中交尾型に分類される. 陸上交尾型(アシカやアザラシ)は一夫多妻制だが,このときのハーレム形成のために争いの一部として鳴音が使われる. また,幼獣と母親が鳴音で通信することもあり,これは多数の母子から互いを識別するために使われている.
一方で,水中交尾型はハーレムを形成することはできず,様々な繁殖方法が広まっている.その中で, 特に水中で交尾する際に呼吸穴をふさぐことが重要なので,そのための威嚇として鳴音が使われることがある. 加えて,遠くの個体に自身の繁殖状態を伝達し,交尾を加速する役割もある. これらの性質から,もちろん繁殖期はよく鳴くし,非繁殖期は頻度が落ちる.
ところで,この鳴音がソナーの役割をもつかは議論されている. 鳴音以外の発達した感覚器が多くあるため,ソナーをする必要はあるのか?みたいなところ. 暗闇でも餌を捉えられると同時にクリックスの頻度が高くなるらしいが,一方で,目隠しをした状態では頻度が上がることはなかったらしい.おもろ

バイオロギング

特に海洋生物などは,自然界に存在する状態でどのような音を発しているか, 周囲の音からどのような影響をうけているか,などをロギングする必要がある. しかし,音をそのまま録音して送信するような形式のものはばかりではなく, 例えばクリックスのパルス音の音圧レベルと受信自国だけをロギングしたり,音以外にも 加速度センサなどを一緒に取り付けていることもある.取得したい音の種類によって得たい情報が変化するためである. また,これらの装着も課題の一つにある.毛があれば毛につければいいが,イルカやクジラには吸盤が必要である.