虫
発音
昆虫はめちゃめちゃ小さいけどすごく大きな音を出すのすごいよな,っていう… 魚類と同じように,遠距離では減衰しにくい音圧,近距離は減衰しやすい粒子速度が使われている.
- 摩擦
例えばコオロギは硬い表皮を持っているが,この方さにより特有の摩擦器官をもつ. 片方の翅にはギザギザがあるが,一方の翅には摩擦片とこすり合わせることで音が出る. このヤスリの部分のギザギザの個数やこすり合わせる速度によって周波数が変化し, 種類によっては 120 kHz までの音を出すものも存在する. こういった音が翅に共振して,遠くまで届く.コオロギだけでなくてもアリやガなども摩擦器官をもつ. また,翅にも限らない. - 振動膜
セミとかめちゃめちゃうるさいよな... セミの中にはクチクラの膜がある.(生物のにできる硬い膜) このクチクラの膜が tymbal muscle によって収縮されることでパキパキと音がする. これが腹部のほとんどを占める空気によって増幅されることでめちゃめちゃ大きい音が出る. - 打撃
体の一部を打ち付けて大きな音をだす種類が存在する. 例えばヤガは両羽の背側に特殊な構造を打ち付けて羽ばたく. - 空気放出
笛と同じ.スズメガの幼虫は腹部の気門から空気を放出して音をだす. 防衛に使われることが多い. - はばたき
これは主に近距離通信に使われる. 例えばミツバチは歩きながらはばたくことで,花蜜の場所を別個体に伝える.(ミツバチのダンス) - 振動発声
虫の中には振動を自ら発生させる種も存在する. 例えばシロアリは木材に自分の頭を打ち付けて,振動信号をつたることで他の個体に警戒音を伝える. カブトムシの蛹は背面を蛹に打ち付けて,他の幼虫の接近を妨げる. コモリグモは腹部を植物に打ち付けて,求愛する.
受音
昆虫には弦音器官という,虫に特殊に発達した感覚器が存在する. これが空気中を伝わるおとや振動を受容する.
- 音受容器
脊椎動物と同様に鼓膜があり,鼓膜と気管,最後に感覚細胞がある. 感覚細胞は鼓膜からの振動でももちろん反応するが,気嚢のある内側からでも振動する. これは音源定位に使われる.すなわち,気管で連結している鼓膜が音圧の差を検知する. この鼓膜の位置も色々で,前肢にいる種もあれば,胸部や翅にもつ種もある. これは,捕食者(コウモリ)からの信号をとらえることにそれぞれ特化している. コウモリはエコーロケーションに超音波を発するが,これを効率的にとらえることが目的である. また,触覚にあるジョンストン器官は,粒子速度を受容する. 例えばオスの蚊のジョンストン器官は,触覚の先端の 7 nm ほどの動きを感知することができる. - 振動受容器
例えば植物を伝わる振動は減衰しづらく,昆虫にとって感知しやすい. 膝下や,腿節内に存在する弦音器官がこの振動を受容する. このような振動受容器がある一方で,鼓膜期間をもたない昆虫も存在する.
先ほどのように,鼓膜をもたない昆虫も存在するが,鼓膜をもつ昆虫は音響情報を使って, つがいへの定位や,捕食者の回避を行う. この音源定位は,哺乳類のときと同様に,一対の鼓膜の左右からの入力差を使う. しかし,昆虫はめちゃ小さいので,左右差も少なく,信号処理などなんらかの部分で工夫が必要になる. 例えば,魚のときと同じように位相差を使うことが考えられる. また,コウモリのエコーロケーションを使って捕食者回避を行うのであれば,今のままでも十分という考え方もある. さらに,ヤドリバエという種は,音源定位に特化した特徴をもつ. それらはコオロギの幼虫に寄生するため,生きるために音源定位が不可欠ということらしい. ヤドリバエの鼓膜はシーソーのような形になっており,片方から入ってきた音の周波数に合わせて 鼓膜の角度が変化する. これによって,時間差が約 40 倍程度も増幅されることになる. さらに,これが有毛細胞へ伝わり,神経の発火となると,活動電位の潜時の関係で 1000 倍程度も増幅される. (潜時は,神経が応答するまでの遅延時間なので,大きい音に対する応答は速く,小さい音に対する応答は遅い.)
昆虫が音響情報を聞いたとき,どのような行動をとるかはいくつかの選択肢がある.
- 定位行動
昆虫同士でコミュニケーションをとるために,特定の周波数やパルスパターンをもつ音を聞き分け, 積極的に定位する. 自然界の中の多くのノイズの中から聞き分けられる能力あるんだな, - 驚愕反応
昆虫同士のコミュニケーションは混信回避のために,周波数やパターンを絞っている. このとき,これ以外の音に対して忌避的な反応を示す. 例えば体の大きな生き物が近づくと 100 Hz 以下の基質振動が生じるが,これを感じると, 防衛行動をとる. 具体的には,準備反応,逃避,フリーズである. 準備反応は,我々がいきなり大声をだされたときにビクッてする感じの筋肉の収縮がおこる. この後は,例えばバッタだったら飛び跳ねて逃げる,みたいなことが起こる. - 回避行動
コオロギとかバッタが飛翔中に超音波を向けると,それの反対方向に逃げる特性がある. これはコウモリからの回避であり,最も典型的な回避行動である. - 擬死反応
例えば,ガにいきなり強い超音波を向けると突然飛翔を止め,地面にダイブする. これはフリーズ反応,または擬死反応という. 昆虫が予想しないタイミングで忌避音が聞こえたしまった場合は,昆虫にとって すぐそこに敵がいることを意味する. これに対する最終手段がフリーズ反応というわけらしい.
振動を使ったコミュニケーション
多くの昆虫は音や振動を使ったコミュニケーションをとる. 音は視覚的な情報よりも効率的に受送信ができるためである. しかし,あまり特徴的な音を使うと天敵に自分の場所を知らせることになる. そこで,別の適応的な信号を用いることがある.例えば超音波を使った摩擦音や, クリック音である.もう一つは植物を介した振動伝達である. 小さな虫は自分で大きな音を作れないため,代わりに粒子速度に対する変位受容器と, この植物を介した振動受容器をもつ.
- 直接振動
信号伝達をしたい相手を直接たたいたりすることで振動を伝える方法. 触覚や翅を使って特にメスの体に接触する. これは,メスの動きの制圧や,精子の輸送効率などが目的らしい. - 近領域の振動
翅などを使って周囲の空気や水など,媒質を振動させる. これは,近距離の粒子運動(変位)を感知できる触覚などに機能をもつ虫が特に感知できる. 例えば翅を震わせることでメスへの刺激行動になるらしい. - 境界振動
境界振動は,特に小さい虫などが,自身の力だけでは十分な音波を発することができない場合に使われる. 例えばドラミング,タッピングなどである. 葉っぱや茎などをゆする,木に自分の体を打ち付けるなどである. 実際にアリが職蟻を集めるために地面をたたくことや,カワゲラが腹部のプレートで対象をたたいたり こすったりすることでメスへの特別な信号を伝えることなどがある.
超音波を使ったコミュニケーション
昆虫の中には,特に蛾は,超音波を使ってコミュニケーションを図る種も存在する. コウモリのエコーロケーションを邪魔したり,求愛に使っている.
- なわばり
ヤガ類は,左右の翅をカスタネットのように打ち付けることで 30 kHz 以下の超音波を発する. チョウも同じような動作をすることがあるが,これは可聴音であることもある. - 誘引
メスに対して誘引するために超音波を使うガも存在する.珍しいらしい. 翅が羽ばたくことで,前翅と中胸を結ぶ振動膜が緊張し,エネルギーが蓄積される. これが解放されるときに超音波を発する. これは主に近距離にいるときに起こる動作だが,周囲にメスがいないときにオスが単独で動作をすることもある. 中距離にいるメスを誘引するために使われるといわれているが,あまり研究は進んでいないらしい. - 求愛
メスがオスを誘引したあとに(フェロモン),オスが配偶の目的を発するために求愛超音波を出すことがある. この音圧は低いものが多い. これは盗聴を防ぐこともあるが,成功率を上げるためのものなので,不可欠というわけではない,という理由もある. 例えば,ガはフリーズ反応をいつでも起こすことがある. つまり,コウモリのエコーロケーションとオスの求愛超音波を区別していない. これにより,オスが近くで超音波を出すことで,メスを静止させることが可能になる. このすきに交尾しちゃおう作戦らしい.倫理どうした
ショウジョウバエ
ショウジョウバエは求愛中に羽音を出してアピールするが,これは求愛歌と呼ばれる. サインソングとパルスソングの二種類があり,求愛行動中はこれらを交互に発している. これらのソングを人工的に作っても求愛が促進されることが知られており, 特に聞き分ける能力やシグネチャはないらしい. 他にもメスが居お会いを拒否する拒否信号や,オスが攻撃時に出す攻撃音などがある.
ハエの触覚にはジョンストン器官があり,これによって音を聞き分けていると前述したが, これは特に風の影響も区別することができる. 重力や風によって発火する神経細胞と,音によって発火する神経細胞はべつのところにあるらしい.
テナガショウジョウバエ
テナガショウジョウバエは珍しく,オスの方がメスより大きい. また,性差も大きく,オスは手がひどく肥大化している. これは,求愛時に活躍するものである. テナガショウジョウバエは,求愛が難しい.メスは求愛に反応が薄く, 先のショウジョウバエと同じように羽音で求愛信号を送っても,メスは全く反応を示さないことが多い. そこで,テナガショウジョウバエは,メスの腹部を前脚で叩きつける. これによって,先ほど全く求愛反応を見せなかったメスも交尾を受け入れるようになる. しかし,これには弱点があり,このたたきつけ(leg vibration という)をした後に すぐ別のオスに横取りされてしまうことがある. これは,leg vibration の最中はメスの正面にいる必要があるため,背後ががら空きであることと, メスの交尾容認が簡単になっているためである. この横取りが起こる発端は leg vibration の音だと考えられているが,その音単体を聞かせても 反応はなく,視覚的な判断もしていると考えられている.
セミ
セミの鳴き声は多くは配偶行動を目的としている. しかし,セミめちゃめちゃうるさいし同種のメスがちゃんと聞き分けられるかどうかは重要 人間の耳にはよく似た音に聞こえるが,周波数特性とかをみると結構違いがある. また,その大きな音故,天敵に気付かれやすくなってしまうが,これは同期減少によって 回避していると考えられている. つまり,セミ同士が同期して鳴くことによって,音像をブレブレにさせることが目的である. また,特にチッチゼミなどは不規則に休止符を入れることがあるが,これによって 音像をよりいっそうブレブレにしている. この同期現象は,メトロノームの同期振動や,蛍の点滅が同期する減少などに似ている.
ミツバチ
ミツバチは,蜜や花粉のありかを教えるために帰巣後,尻振りダンスをして,仲間に 蜜や花粉のベクトル情報を伝達する. ミツバチは鼓膜をもたないため,触覚を使ってそれを感知しようとする. そのベクトル情報は尻振りの方向,スカラー情報は尻振りの持続時間によって符号化されていいるらしい. また,同時に腹部から空気噴射が起こっているらしい.(気門?) これも使って情報を得ているらしいが,これに関しては(調べたが)よくわからない
カメムシ
カメムシはあの臭いの印象しかないので,フェロモンが強い昆虫だと思っていたが, 鳴音や振動もコミュニケーションに使っているらしい. これらはコミュニケーションや,求愛の際に使われることが多い. オスメスがお互いに振動を発し,互いの場所を認識した後,その位置を確認しながら接近し, 接触する. 最終的に触覚や視覚などの情報を使って,メスがオスを受け入れれば交尾にいたる. 他にも餌の収集や,天敵の察知,さらには卵塊の一斉孵化にも振動を用いることがある. これらカメムシの振動は叩きつけや,筋振動などによって行われるが, これらには方言があるらしい. つまり,他地域の同種のカメムシで同じ求愛振動を聞かせても全く反応しないことが知られている.
ベニツチカメムシ
ベニツチカメムシは,給餌に使うための信号利用を初めて明らかにされた. ベニツチカメムシは落葉の下に卵を産み,羽化した後餌を与え続ける. だいたい10 – 12 日で独立する. メスは巣に入る際にブザー音のような振動を発し,基質内を移動する際に断続的に振動を発する. この振動がどんな目的かはまだ研究されているが,今の仮説は「巣に入ってきたのは親であることを知らせる目的」ということらしい. 当初は子供を集める目的があるといわれていたらしいが,これは振動の有無で 幼虫の集合傾向はあまり変化がみられなかったかららしい.
クロスジツマグロヨコバイ
クロスジツマクロヨコバイは横ばいに茎を這って動く昆虫. この虫は発音器官の振動が基質(茎など)につたわり,配偶者へ伝達される. この振動は,特にオスだけが使用し,またその構成はトリルと規則的なバズからなる. このとき,トリルの情報の方が特に有用な情報を含むことが分かっている. また,多くの昆虫はオスが一方的に求愛信号を出すことが多いが,クロスジツマグロヨコバイはオスメス相互通信ができる. オスが最初に求愛広告を開始すると,メスはそれに応える. これを繰り返し,デュエットをしばらくすると,オスはトリルの回数をしだいに増やす. これによりオスは交尾を促していると考えられている. また,このバズの持続時間は加齢に従って短くなり,派手さが減る. メスはより派手な振動を好むと推測されている.
アリとチョウ
アリは高度な社会を構築していることで知られているが,このアリの巣から排出される食料やゴミ を狙ってチョウなどが侵入を狙っている. このうち,とくにゴマシジミチョウはアリとの共生で有名. 例えばリベリゴマシジミチョウはその幼虫期をアリの巣の中で過ごす. アリは,自分らの子供と同様にシジミチョウの幼虫に口移しで餌を渡す. また,アリは自分らの子供よりシジミチョウの幼虫を大事に扱うことが知られている. これは,女王アリが発する振動に類似した音を幼虫が出すからだといわれている. これが,ゴマシジミチョウがアリの振動を盗聴するゆえんである. 一方で,女王アリはこの振動に対して敵対的な動きを見せる.
また,シジミチョウの幼虫や蛹が音を出すことはよく知られている. 蛹は腹部にある関節中の細かな棘をこすり合わせて音を出す. こういった音は,アリからの護衛を要求する役割を持つ. その報酬に,幼虫は蜜線から蜜を分泌する. この音が頻繁であるほど,アリがよく集まり,護衛することが知られている.
また,アリ単独でも音をつかったコミュニケーションをとる. アリは視覚がよわく,代わりに化学物質を主な伝達手段としている. また,アリは鼓膜がないため,振動でしか音を察知することができない. 多くの場合,腹部を足元の物質にたたきつけるドラミングや, ヤスリのような腹部をこすり合わせて摩擦音を出す. こういった音は動員や救難,求愛などの役割がある. また,植物の葉を栄養源としてキノコを育てるアリも存在するが, このアリは葉っぱの質を摩擦音で伝達することが知られている. また,女王アリはオスアリと空中で交尾したのち,地上に降りてくることが知られている. そこで,過剰に交尾することを防ぐために女王アリは摩擦音を出し,交尾を回避する.
カブトムシ
カブトムシの幼虫は6月ごろに蛹を作るために深く潜る. しかし,この蛹室はあまり頑丈でなく,例えば先に作られた蛹が次に蛹を作ろうとする幼虫に 壊されてしまう可能性がある. そこで,蛹は蛹室の中で腹部を回転させることで打ち付け,低周波の振動を発声させる. これは人間にも感知できるほどの(飼育容器内で)大きさであるが, 幼虫がこれを聞くと一時的に動きを止めるようになる. いわゆるフリーズ反応だといわれている(モグラなどに対応している).
線虫
線虫には資格がないため,化学物質やそのほか物理的な刺激からしか情報をとれない. この中で,振動的な刺激は,例えば天敵の感知や,宿主の動きの感知などに利用される.
甲虫
甲虫は摩擦音を出すことで知られている. 鑪状の器官と,爪状の器官をこすり合わせることで,構成されている. この摩擦音は,例えば生殖中の同性隔離や,防御行動に役立っている.
コオロギ
コオロギはオスのみが鳴く. オスは呼び鳴きといい,遠くにいるメスを呼び寄せる役割をもつ. メスが近くにくると,今度は求愛鳴きに変化する.最終的に,メスがオスに乗り,交尾が完了する. この呼び鳴きはパルスで構成されたチャープ音であるが,様々な種類(エゾ・エンマ・タイワンなど) によって周波数特性や持続時間が変化する. この変化はメスによって聞き分けることができる.(聞き分けられないものも存在するが, 生息地域がかぶっていないので交雑にはいたらないらしい.) 交雑はコオロギにとってあまり利益はなく,発育不全などを伴う. そのため,コオロギは生息地がかぶっている場合は呼び鳴きの特性やメスの聞き分け能力 などの発展につながる.
孵化
音や振動が孵化に関わることがある. 例えばカエルの胚は,ヘビの攻撃を受けると孵化を早めることがある. このとき,雨や風などの振動と,ヘビの攻撃的な振動を区別している. また,カの卵は,水中の波の振動により孵化が促進することが知られている. こうした環境由来の振動による孵化の促進の他にも,隣の胚の心拍などを察知して 同期し,孵化のタイミングを合わせることなどができる. こうすることで,天敵からの攻撃の分散を図っている. これ以外にも,親が自らの意思で卵をゆすったり,ポンピングする現象なども確認されている. (カニ・カメムシなど) なぜ振動で孵化が早まるかは分かっていないが,単純に機械的な作用(殻を割る補助)であったり, 胚自身が振動を用いて孵化のタイミングを判断していることなどが挙げられる.
害虫駆除
最近は農薬に頼らない害虫駆除が求められている. これに対応するために,振動を用いた害虫駆除が研究されている. 例えば,ミカンジラミは柑橘系の木に病原体を媒介することで知られている. ミカンジラミはオスが求愛振動を出すとメスがそれに応答信号を出す. このとき,メスの振動をマスキングすることでコミュニケーションが阻害され, 交尾率が 56 -> 12 % にも落ちたといわれている. このように振動コミュニケーションを行う害虫に人工的に振動を加えることで, 害虫の駆除をはたしている. また,ツノマダラカミキリは振動に対して忌避反応を示す. これを利用して,人工的に振動を生むことでカミキリを静止させたり, 行動を阻害したりできる.
ガは超音波を感知することができる. ヤガは果樹園に加害するガの種類であるが,発生源が果樹園の外であるため, 発生をコントロールすることは難しい. そこで,ガが忌避反応を示すコウモリの超音波を模倣して流すことで ガの侵入を抑えようというのがこれの目的である. ちなみにこれはやりすぎると慣れてしまうが,ある周波数のあるパルスでは慣れを示さないことが分かっている.
シロアリ
アリはよく知られている通り,化学物質の分泌によって,経路や警報などをコントロールしている. しかし,これとは別に,タッピングなどの現象によってフィジカルコミュニケーションを図ることがある. この振動は,前後方向のゆすり行動と,上下方向のタッピングに分かれる. この振動は微々たるものであるが,逆にシロアリはこれほど微小な振動を読み取ることができる. これを利用して,シロアリの食害を防ぎたい部分に局所的に振動を加えることで, シロアリの行動を攪乱させることができる. また,逆にシロアリの振動を利用してシロアリ検出を行うこともできる. 例えば,電磁波を出力する機器を設置し,シロアリなどが移動することで変化する位相を検出することができる.
カ
前述のとおり,カはジョンストン器官と触覚で音を感知する. そこで,メスの羽音の基本周波数に近似した人工的な正弦波を発するトラップを用いて, オスのカを大量に捕獲する実験がある.カの羽音は,微々たる誤差あれど,ほとんど正弦波で近似できる. また,オスはそのときの気温に従って周波数を変化させることがあり,これに 同調してメスの羽音も変化させる必要がある. また,視覚的な情報も考慮する必要がある.(スピーカの色)